おはようございます。こおろぎです。
JR西日本が誕生した1987年、鷹取工場で、新しいお座敷列車「あすか」が誕生しました。それまであった「みやび」が、餘部鉄橋の事故で大破してしまい、7両すべて廃車となったため、新しいお座敷列車として「あすか」が登場。
あすかは、12系客車の6両と、14系の寝台車1両を種車としており、中間の4号車がイベントカーとなっていて、14系を種車としています。鷹取工場にて、改造を受けまして、12系の窓は大きなものとなり、ブロンズガラスに変わり、14系寝台車は、曲面ブロンズガラスが設けられました。
イベントカーはハイデッカーになっていて、オハネ14 3を改造。昭和46年に登場した、3段式のB寝台車であったものを、鷹取工で改造したことで、おしゃれな雰囲気になったものです。このイベントカーは、展望コーナー、イベントコーナー、カウンターコーナーを一体化させており、それぞれの設備の個性を引き出すことが狙いとなっています。
床面は500ミリかさ上げがされて、自然な色合いのカーペットで市松模様に敷きつめられて、ソファーの表地も織物となっており、リビングルームのような落ち着きを表現し、ゆったりくつろげるように配慮したものです。寝台車でいえば、「はやぶさ」「富士」にあるロビーカーと同じように、落ち着けるようにしたもの。
展望コーナーの部分の側面窓は大型の曲面ブロンズガラスとなっているため、眺めがよくなっています。編成端の展望室と同じように、広い眺望を得られるようにしたものです。天井は灯火類・スピーカー・空調吹出し口を平天井にまとめられています。
客室内の一端にはイベントコーナーが設けられて、ステージの背面は鏡張りとなり、床にはなんと、ボディソニックパネルを2枚埋め込んでいるのです!これによって、臨場感を味わうことが出来るよう配慮されました。そのコーナーからは、全車両に対して、ビデオ放送や、ステージからの実況中継ができるようにした。ステージを使用しないときは、鏡張り部分はシックな色のカーテンで覆うようにしています。以前、「みやび」があったとき、4号車にひのき作りのステージが設けてあって、天井のテレビカメラが、中継できるようにしてくれてありました。
「みやび」にあった機能を、「あすか」にも採用したことは、経験が生かされていて、素晴らしいと感じられます。
カウンターコーナーもあり、そこは洋風でカフェバー風のカウンターを設置されていますが、和風のイメージを感じられるように、カウンターの色は漆調の配色としています。シンプルな中で豪華さを感じられるように、カウンター下部と車内の腰板は絨毯張りとしたので、和洋折衷な雰囲気を楽しめます。
12系を種車としたほうは、天井に格子が組まれていて、地面は畳敷きがあり、座卓に座椅子を配置しており、窓には障子が組み込んであるなど、和風な雰囲気を楽しめます。展望車のある部分には、ソファも配置されて、眺めがとてもよく、いい感じに楽しめるでしょう。
あすかは、1996年にリニューアル工事がなされまして、グレーであった車体はベージュ色に塗り替えがなされて、屋根も張り上げに変わりました。リニューアルによって、車体は明るい雰囲気になり、トイレの増設、ラウンジカーにカーテンの増設など、サービス向上がなされました。これらによって、あと20年は走れるだろうという感じに復活。見事なものです。
宮原に配置されて、関西をメインに活躍、静岡や東京にも乗り入れてくれたことがありましたが、老朽化も否めず、2016年7月に展望車が2両廃車回送されまして、10月に残りの5両が廃車回送。吹田工場に送られまして、2018年までにすべての車両が廃車にされました。和風の雰囲気があった「あすか」は、最後まで残った和風客車だけに、もったいない感じもしますが、いつまでも思い出は残るでしょう。
ちなみに「あすか」は、車体に雲、扇の絵があって、和風な雰囲気を出してくれました。1号車は、車両形式が「桜」とされて、扇は縹色、2号車は「銀杏」で、扇はからし色、3号車は「菖蒲」でうぐいす色、4号車のハイデッカー車は、茜色、木賊色、黄土色となっており、5号車は「すすき」で薄群青色、6号車は「水仙」で桜桃色、7号車は「桜」で、中紫色をしています。
和風な雰囲気で彩ってくれた「あすか」が廃車になったことで、ジョイフルトレインは、「サロンカーなにわ」だけとなります。数少ない、国鉄時代の登場の客車で、40年が経っても現役で大活躍。種車は製造から50年となっても、パワフルです。あすか、思い出を残してくれました。
それでは、また。