こんにちは、こおろぎです。
1986年の12月のこと、誰もが予想しただろうかという事故が起きてしまったのです。それは、お座敷列車「みやび」が、香住駅でお客様をおろしたあと、浜坂駅に回送される途中、餘部鉄橋を走行中に、突風を食らい、客車7両がまっさかさまに転落。客車はカニの工場や民家を直撃して、工場にいた従業員の方5人と、車掌が犠牲になってしまいました。
この大きな事故は、多くの人々に衝撃を与えてしまい、あわただしい年末での事故は、大騒ぎとなってしまいます。転落した「みやび」は大破してしまい、7両すべて廃車されてしまったのです。客車は撤去されるさい、いくつかに分割されて、トラックで鷹取工場に運ばれていきました。事故の検証を行うためなのでしょう。
「みやび」は、1987年の2月に正式に廃車とされてしまい、取り壊しがされて、完全に姿を消しました。大破してしまっては、修繕はとてもむずかしいため。最終的に廃車されてしまい、みやびは残っていません。
この「みやび」は、本来はとても立派な和室となっていて、人気が高く、高級感がありました。特急型の客車、14系の座席車を改造したもので、鷹取工場でつくられました。改造では客車のなかにある座席を撤去して、車内をがらんどうにしたあと、畳を設置して、天井には格子を設け、窓には障子を組み込んでいます。さらに、畳の部分には、掘りごたつ、テーブル、座椅子といったものを設置して、さらにカラオケもつきました。
和風な雰囲気の室内に仕上げられて、従来の14系とは思えない雰囲気に変わりました。1号車、3号車、6号車は、天井に茶色の格子がつくられ、窓の障子も茶色となり、ふすまは赤色となり、かなり重厚な雰囲気になっています。いっぽうで、2号車、5号車、7号車は、舟底天井となっており、同じように格子となっているのも特徴。ふすまはからし色となっていて、黄色い雰囲気になっているのが特徴。まどの障子も、落ち着いた色になりました。室内のかべは、うぐいす色となっていて、和風な雰囲気が落ち着けます。
4号車は、遊車となっていて、つまりラウンジカー、こちらも高級な感じになっています。居酒屋風の売店もあって、売店の屋根には日本瓦があり、壁の一部は丸い障子もあるなど、かなり高級感があります。地面には石のタイルも。日本庭園も設置されていて、白砂、庭石、青竹、竹垣、雪見灯篭もあり、庭園部分には、大きな窓が設置されました。日本庭園がある客車は、おそらくみやびのみ。風流です。
また、4号車には、能舞台もあって、立派な欄間も設置されています。舞台ではカラオケも楽しめるほか、座敷には緋毛氈のかかった床机もあったりと、豪華です。また、天井については、2号車、5号車、7号車と同じような舟底天井になりました。
このように豪華になった客車が、活躍できたのは、8か月ほど。事故によって、大破してしまったことで、客車の中は全滅。廃車せざるを得なくなってしまったのです。もしも健在であったら、リニューアル工事を受けたかな?と思ったほどです。
JR西日本のジョイフルトレインは、現在はほとんどが廃車されて、消滅してしまったけれど、サロンカーなにわだけは健在です。すでに廃車されてしまった、あすか、旅路、わくわく団らん、いきいきサロンきのくになどは、登場から10年くらい経ったあとに、リニューアル工事が行われました。特に「旅路」では、リニューアル以前は、12系を赤く塗装したような、見事に赤い車体が特徴となっていました。リニューアル後には、車掌室が内側になるように連結されて、トイレや洗面所があった部分に、展望室が設置されました。
みやびにおいては、リニューアル工事されたら、どんな風になっただろうかと思ったほど。なお、みやび廃車後は「あすか」が誕生して、活躍してくれました。「みやび」は活躍期間が短かったため、もはや幻の客車かも…?
みやびがなくなったあとも、「あすか」は大活躍、車体には雲や扇の絵も入って、和風な雰囲気で楽しませてくれました。その「あすか」は、2010年以降はあまり走ることが少なくなり、出番が少なくなっていきました。老朽化もあってか、2016年に廃車回送が行われ、4両が廃車に。その後、2018年に残った3両が廃車になり、あすか、全車両が廃車、消滅…フェードアウトしていった感じがします。
みやび、あすかという立派な客車があったことを、いつまでも忘れず、思い出にとっておきます。
それでは、また。